マネージャーの役割

マネージャーの役割はスクラムを採用しているほとんどの組織によって、大きく変化します。
既存の伝統的な管理者は作業内容の決定や実行方法に頻繁に関与してきます。

何をすべきか -> プロダクトオーナー

チームが何に取り組むかの意思決定はマネージャーではなく、プロダクトオーナーが決定します。プロダクトオーナーは製品の概要と顧客にとって何が最も価値があるのかを把握し、チームが取り組む作業の優先順位を付けます。

マネージャーは何をすべきかに関与する役割を持たず、関与すべきではありません。

どうやって働くか -> チーム

チームがどうやって働くかに関しては、チームに委任されています。
チームは自己組織的なチームであり、何をすべきか、それをどうやって実行するか、改善していくためにはどうするかをみんなで考える必要があります。

それぞれの役割を以下の図に示します:

組織の強さを作る存在としてのマネージャー

それではこれらを考慮して、マネージャーの役割とはでしょうか。

ミドルマネージャーの役割は全体を見渡し、素晴らしいプロダクトを作るために強い組織を作ることです。チームとスクラムマスターが取り組んでいる障害の排除と改善を手助けすべきです。チームに 改善と問題解決のやり方を教えます。現地現物を行い、現場で実際には何が起きているのか、どうすればチームの改善活動を手助けできるかを理解します。

シニアマネージャーの役割は会社とプロダクトの戦略的な意思決定であり、今までと恐らくそこまで変わってはいません。ですがそうは言ってもシニアマネージャーには人々(彼の部下)に、他人への教え方をレクチャする役割もあります。部下の問題解決を手助けしたり、開発の改善をより良くするための手助けも行います。

別の見方をすると、組織のキャパシティが垂直に形作られるのに対して、価値は水平に(管理者を介さず、チームに直接)伝わるのです。(図1)

参考図書

  • Fifth Discipline—Peter Senge
    学習する組織作りとシステム思考を学ぶ際の定番です。 マネージャーがシステム思考を学ぶ際に必須な一冊です。
  • Lean Manager and Lead with Respect — Michael and Freddy Balle
    これら二冊の本は両方ともビジネスノベル形式で、伝統的な管理手法からリーンな管理手法に成長する必要がある生徒(Andy)を追う形式です。
  • Workplace Management
    大野耐一はトヨタ生産方式の考案者であり、彼のWorkplace Managementはリーン思考とリーン生産方式の古典です。
  • Future of Management—Gary Hamel
    そもそも我々は管理者が必要でしょうか。Gary Hamelはそう考えますが、未来のマネジメント手法は明らかに変化しつつあります。
  • Reinventing Organizations—Frederic Laloux
    我々は本当に管理者が必要でしょうか。Frederic Lalouxはまったく異なる原則に基づいて動いている実際の会社を調査しました。彼らはセルフマネジメントで会社全体を構成していきます。研究対象となった組織についてまで理解する必要はありませんが、調査結果は何が可能なのかを明確に示してくれています。

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