構造

従来の組織は、個々のアウトプットに合わせた再利用できない努力など、沢山の部分最適を行っています。もっとプロダクト全体思考を強めた組織を作るためにはどのような組織構造づくりが必要でしょうか。

「組織構造が文化を作る」
これは “Larmanの組織的行動法則” の第4項目です。
組織に所属する人は、一時的な改善をすることに長けていおり、根本的/長期的な改善をなにも実施しないという傾向があります。私たちはこれを何度も見てきました。なぜこんなことが起こるのでしょうか?

Larmanの組織的行動法則ではこう考察しています。

  1. 組織は、現状の中間管理職、トップレベルマネージャー、専任の専門家など、既存の地位や権力構造を変更しないよう、暗黙的な最適化がなされています。
  2. 1の結果として、どんな変革を行おうとしても、意味的には現状と同じ意味の新しい単語を再定義したり上書きしたりする程度の内容に無力化されてしまいます。
  3. 1の結果として、どんな変革を行おうとしても、「純粋主義」や「理論倒れ」などと冷笑され、「我々特有の問題には、実用的なカスタマイズが必要」と言われて、弱点克服やマネージャー/専門家の現状にメスを入れる営みから逸らされます。
  4. 組織構造が文化を作る

あなたが思うとおり、文化によって組織構造が作られるという意見も正しいです。しかし、これは文字通りの意味にはならず、明快なバズワードになってしまう運命にあります。

これはどういう意味でしょうか?
グループ、役割、階層、ポリシー、さらには組織のシステムやデザインといった構造要素が変わらない限り、行動や考え方は変わらないでしょう。

システム思考のリーダーであるJohn Seddonは、「文化は組織構造に従う」と次のように説明しています。

組織の文化を変えようとするのは愚かです、それは常に失敗します。人々の行動(文化)はシステムの産物です。システムを変更すると、人々の行動は変わります。

私たちは、LeSSを採用しようと試みたものの、それに応じて組織構造、役割、および方針を変更することを拒否した多くの組織を観察しました。それらすべての組織が、LeSSの恩恵を十分に得ることは出来ませんでした。

問題の一部は個人の安定性です。誰も、構造的な変化が原因で失業したくはありません。
これは、LeSSが仕事の安定を目指すリーン思考の原則を重視し、役割の安定を重視しない理由の1つです。