LeSS Framework


スクラムのスケーリングは、標準的な1チームで行うスクラムを理解することから始まります。その観点で、あなたの組織は LeSS を理解し適応できることが求められます。そのためには、1チームで行うスクラムが持つ各要素の目的を検討し、標準的なスクラムルールの制約の範囲内でも同じ目的を達成する方法を見つけ出す必要があります。

スクラムによるアジャイル開発では、アジャイルになるための深い組織変革が求められます。したがって、スクラムも LeSS も単なる開発プラクティスと考えるべきではありません。むしろ、これらは組織設計のフレームワークを形づくっていると考えられます。

2つのアジャイル・スケーリング・フレームワーク


LeSS は2つの異なる大規模スクラム・フレームワークを提供します。LeSS のスケーリング要素のほとんどは、すべてのチームの注意を「担当部分」ではなくプロダクト全体に向けることに集中しています。グローバルな視点で「エンド・ツー・エンド」に焦点を当てることは、スケーリングで解決すべき主要な課題です。次に示す2つのフレームワークは、基本的に1チームで行うスクラムをスケールアップしたものです。

  • LeSS:最大8チーム(各チーム開発者8人まで ※POとSMは含まない)
  • LeSS Huge:最大数千人で1つのプロダクトを扱う

    「1チームで行うスクラムと同じ」とは?


    LeSS は、1チームで行うスクラムのスケールアップ版であり、1チームで行うスクラムのプラクティスやアイデアの多くを継承しています。例えば、

  • 1つのプロダクトバックログ(チームではなくプロダクトのために)
  • すべてのチームに対する、1つの Done の定義
  • 各スプリント終了時に、1つの潜在的に出荷可能なプロダクトインクリメントを得る
  • 1人のプロダクトオーナー
  • 多くの完全なクロスファンクショナルチーム(一分野の専門家チームではなく)
  • 1つのスプリント

    LeSS では、すべてのチームが共通のスプリントに参加し、すべてのスプリントで共通の出荷可能なプロダクトを提供します。

    (1チームで行うスクラムと)LeSSは何が違うのか?

  • スプリントプランニング第1部: 1人のプロダクトオーナーと、すべてのチームメンバーが参加します。プロダクトバックログアイテムのメンバーへの分担はチーム内で自主的に管理します。特に関連するアイテムについては、チームメンバー間で分担したり協力したりするタイミングについて話し合います。
  • スプリントプランニング第2部: (通常は同時に)各チームが独立して行いますが、調整や学習をシンプルにするために、2つ以上のチームが同じ部屋(の中の別々の場所)で行うこともあります。
  • デイリースクラム: 同様に、各チームが独立して行いますが、情報共有のレベルを高めるために、チームAのメンバーがチームBのデイリースクラムに見学に行くことがあります。
  • 調整: チームまたはチーム代表者が交代で、オープンスペース、タウンホールミーティング、スクラムオブスクラムなどを定期的に開催し、情報共有や協力のレベルを高めます。
  • 全体プロダクトバックログリファインメント: 任意に、プロダクトオーナーと各チームの代表者が参加する Overall PBR(全体プロダクトバックログリファインメント)を短い時間で開催することがあります。主な目的は、どのチームがどのアイテムを実施する可能性が高いかを確認し、後で行う詳細なプロダクトバックログリファインメントの対象にするアイテムを選定することですが、プロダクトオーナーと全チームとの足並みを揃えるチャンスでもあります。
  • プロダクトバックログリファインメント: LeSS で最低限求めているのは single-team PBR(1チームで行うプロダクトバックログリファインメント)で、1チームで行うスクラムと同じです。ただし、一般的かつ有用なバリエーションとして multi-team PBR(複数チームプロダクトバックログリファインメント)があり、2つ以上のチームが同じ部屋で一緒に行うことで、学習と協力を促進します。
  • スプリントレビュー: プロダクトオーナー、全チームのメンバー、関連する顧客/利用者、その他のステークホルダーが参加します。プロダクトインクリメントや新しいアイテムを検査する段階として「バザール」や「技術見本市」のような形式を検討することがあります:それは、大きな部屋に複数のエリアを設けて、それぞれのエリアにチームメンバーを配置し、各チームが開発したアイテムを展示し、議論する形式です。
  • 全体レトロスペクティブ: 1チームで行うスクラムには無いミーティングで、1つのチームに焦点を当てるのではなく、システム全体の改善を検討する目的で開催します。スプリント内の1週間につき最大45分間を目安に行い、プロダクトオーナー、スクラムマスター、各チームの代表者が交代で参加します。